実用薬物与臨床フェスタ開催
05年3月期(連結、米国会計基準)の営業利益は、前年3月期実績に比べ0.3%増の1兆673億円。
営業利益ベースで5期連続の増収増益、最終利益でも3期連続の増収増益で、過去最高益を更新した。
世界販売が10.3%増と大幅に伸び、名実ともに世界最強の自動車メーカーになった。 これだけの絶好調であるから、当然のように企業経営や生産のノウハウは他社から注目を集める。
このところ、多くの組織が「T方式」の導入を試みているのである。 東京都は設立準備中であった新銀行トップにT関係者を招き、開港準備下にあった中部国際空港やRホール宗イングスなどもTから人材をスカウトした。
T出身の経営コンサルタントがT式生産方式を伝授し、顧客企業の品質、コスト、生産性などの改善に取り組むといった例も多く、T自動車自体もRと組んで、製造業を中心に顧客企業で人材育成の支援事業を行う新会社(O)を設立した。 つまり、日本中、いや時には国境を越えてさえ、T方式は進出しつつあるのだ。
Hは、成功した企業や国・地域の経済モデルは速やかに他の企業や国・地域で模倣されると主張しているが、まさにそうしたことが起きている。 だが、T方式は自動車会社で培われた生産管理の手法である。
それはどの程度まで他分野に応用可能なのだろうか。 外国では研究書でこそ「リーン生産方式」と呼ばれ評価が定まっているものの、適切な量の中間製品を作るために札を付けて回す「かんばん方式」や、異常が発生したときに音や光で周囲に知らせる「アンドン」、「5S(整理、整頓、清潔、清掃、しつけ)」などのシールを採り入れた自動車企業では、顕著な成果はあがりにくかったといわれている。
しかし国内他産業への応用例としては、なかなか興味深い例が報じられている。 デパ地下などの売り場で販売されている「アール・エフ・ワン」などのブランドを有する高級総菜メーカー、ロック・フィールドは、T人事部に指導者となる人材の派遣を求め、派遣された人は現在は同社の執行役員となり、「改善」の成果をあげているという。
たとえば、工場で20〜30名がナイフを手に、じゃがいもを一個一個手に取って皮を剥く「芽取りコーナー」。 かつてそこには、ベルトコンベアーが設置されていた。
ベルトコンベアーといえば、工場で効率的に作業を進めるために欠くことのできない装置という先入観がある。 1度に大量に生産した方が、単価当たりで燃料費などのコストが安上がりになるからだ。
ところがそうした思い込みとはうらはらに、現実には剥いた皮がたまるといちいち捨てに行かなければならないなど、ムダな動きがあったという。 またコロッケやサラダを出荷予定時刻までに予定量を作る(「0時までに0キロのポテトをふかす」)といった必要が生じたときに、コンベア式の流れ作業だと1人1人の作業量が不明で、全体の量としても間に合わなかったり、逆に作りすぎたりして、余った分は大型冷蔵庫に押し込むことになる。
挙げ句には、どこに何があるかも分からなくなってしまっていたという。 それに対する改善策は、外見上は驚くほど原始的だ。
キャスター付きのかごを手作りし、それに向かって作業するのである。 そうすると作業量が明確になって、在庫が圧縮される。
これは必要な時に必要なだけ揃える「ジャスト・イン・タイム」だが、ベルトコンベアーの廃止は、Tに学んでCやMなど電機業界に広がりつつある、1人で最初から最後まで部品を組み立て製品を仕上げる「セル方式」にも共通している。 また、作業の進行に従って壁にかけた札を裏返していき、はかどり具合を「見える化」する。
これは「かんばん方式」だ。 サラダだけで200種類も作るという多品種少量生産は、多数の車種を同時に製造するTが得意とするものだから、応用が比較的ききやすいのだろう。
では、サービス業はどうだろうか。 病院は昔から、段取りが悪くて長い待ち時間を患者に強いる業態と目されてきた。
広島市郊外のとあるクリニックでは、受付から診療を終えるまでに1〜2時間は当たり前、オプション治療メニューも多彩であることが災いして、さらに点滴を受ける人などは5時間かかることすらあったという。 それに対してカルテの流れを整理して滞らないよう工夫し、モニターを設置して空いている部署に患者を誘導すると、多くの患者が受付から会計までが一時間程度ですむようになった。
T方式にならった「改善」の成果である。 これまでにもT方式ブームは何回かあったが、今回のそれが際立っているのは、民間だけでなく公共部門にまで応用されようとしている点だ。
とりわけ、郵政改革に導入されたことは注目に値する。 郵政事業はそれまで過去5期のうち4期にわたり赤字で、それを黒字体質に立て直すべく2005年4月には全郵便局にT方式を導入した。
その背景には、日本郵政公社が28万人抱えている職員に対して、郵政改革がらみで削減が求められていることがある。 それを可能にするために、「ムリ、ムダ、ムラ」を排除するT方式の浸透を図ることにしたのだという。
埼玉の越谷郵便局でTから派遣された指導員のもと導入の実験が行われ、全国から招集された職員がT方式を現場で習得、マニュアルにもとづいて、各地のモデル局で普及と実施に当たる。 郵便物の集配に際して区分棚に仕分ける作業につき、区分棚をゲージのように並べ、各職員が現在何を作業しており、平均よりも進んでいるのか遅れているのかを色で示すランプを取り付ける。
「かんばん方式」の応用だ。 ところが民間では進んで受け入れられたこの手法も、郵便局の現場では「絶句」を呼び起こした。
区分棚の「ゲージ」が、まるで「養鶏場」を連想させるからだという。 また、従来は座ってできた作業を立ち仕事でこなさなければならないために、「疲れる」という声も根強く、「作業効率が上がり、14%のコストダウン達成」という推進側の発表に対しても、「サービス残業で達成されたもの」という批判が起きている。
T方式は、以前から「儲けすぎ」と嫌みを言われたり、過酷な労働が「自動車絶望工場」と糾弾されたり、「ジャスト・イン・タイム」も、下請けの配送車が公道を占有してこそ実現しているだけではないか、といった憶測を呼んできた。 今回の郵便局での反応も、そうした一連の批判に準じたものと言えよう。
かつてTは、環境庁が「排ガス規制」にかんし一定の期限(78年)までにクリアするよう業界に求めたところ、T社長(当時)が日本自動車工業会会長として適用時期の先送りを申し出たため、「排ガス対策に消極的な会社」とのレッテルを貼られたことがある。 ところが現在では、T方式の地道な研錯を通じ、「P」では、エコカーでありながら走行性も兼ねるという理想を実現した。
そもそも、「T方式」といっても、何らかの完成形があるわけではない。 むしろ1兆円企業になった現在も、「改善」の提案や実施を全社挙げて行っているところにその凄さがある。
郵政公社の件でも、改善点は480項目に及んでいる。 むしろ懸念すべきは、次の点だろう。
Fは「能力構築競争」で、ものづくりには強い企業でも、それだけでは収益性が保証されない場合がありうることを指摘した。
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